第6回 子別れ
成城ホール 19:00開演
出演: 立川談笑 広瀬和生(アフタートーク)
少し前に談笑さんの、あの破壊的にアホらしい落語を2つ(イラサリマケーとシシカバブ問答)見て改めて調べてみると、談笑師は自分のちょうど一世代くらい上の年齢だということがわかった。自分が10歳くらいだった時に周囲にいた20歳くらいのお兄さんお姉さんというものは、ちょうど働き始めたばかりだったり、大学生でバイトをしていたりして、金銭的に無力な子供であった自分の目には、80年代半ばのバブルと呼ばれる時代のせいもあったのだろうがメチャクチャ自由を謳歌しているように写った。あの時のあのキラキラした感じが突如フラッシュバックし、ノスタルジックな気分が押し寄せてきて、この人は是非目撃せねばと思い立ち、行ってきた次第である。
結果から述べると、アホらしさとの落差ということだけでは説明のつかない感動に浸ることができた。一夜明けた今も余韻が残っている。お金の話のラジオに出演されていること、吉笑さんの師匠であること、ぐらいしか知らない状態で、あのアホらしい落語しか聞いたことがないところへもってきて、全く方向性のちがう子別れというお題。もちろん笑う気で行ったわけではなかったが、感情面での準備は皆無の状態で臨んだのがよかったのだろうか、とにかく揺さぶられた。ものすごく身体のデカい人に両手で肩を掴まれて揺さぶられたような感覚。されたことないけど。あのガタイは伊達じゃないのだ。
本編とスピンオフの2つの噺を演るという構成で、そのあとに広瀬さんとのトークが入る。ここで今さっき見たばかりの落語について、本人による解説と広瀬さんの分析が聞けるという会になっている。見たばかりのものについて、直後にしかも本人からの解説が聞けるとは、なかなかニクい演出である。説明を聞いてみると、演者の意図を必ずしも自分が汲んでいたわけではなく、また伝えたかったことが必ずしも伝わっているわけでもなく、どちらかというと一見表出されていない演者の頭の中にあるディティールを開示してもらったような感じで、伝わりましたね、伝わりましたよ、という確認の場ではないというところが、いい意味での裏切りになっていて、二重にヤラレタな、というある種爽快な気分を味わうことができるのである。
自分が落語に何を求めているのか考えるとき、共有の一点に尽きると思っていたのだが、今回のアフタートークから得たものは、実は誰とも何も共有できていないのだという確認なのであった。演者の意図は伝わっておらず、観客の感情は一致せず、プロデューサーの分析も説明がなされないことには共有されない。時空を共にすることで生まれると思っていた感情の共有は幻想だった。表面化したものだけでは本当のことは何もわからない。けれど表象でしか判断できないのもまた事実だ。結局なにもわからずじまいなのが真実ということなのかもしれない。
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