2018年10月27日土曜日

20181026 立川かしめ前座総決算 二つ目イクアリテ

横浜にぎわい座 19:30〜

まんじゅうこわい
動物園
仲入り
金明竹
俵星玄蕃
講評…志らく こしら

 二つ目昇進をかけた、いわゆるトライアル興行。落語3席と歌謡浪曲「俵星玄蕃」を披露することによって、故談志が二つ目昇進の条件として課していた、歌舞音曲、講談、浪曲を身につけるという課題をこなしたとみなされるというものだそう。結果は、二つ目内定とのこと。いやはやおめでたい。
 おみやげやスポンサーからのプレゼントなどとサービス満点で、パフォーマンス以外のところも細心のおもてなしをしてくださったようで、少々申し訳ない気すらしてしまう。
 まずは、まんじゅうこわい。少々毒のあるアレンジを入れる事で、オリジナリティを出している。動物園は、志らく師の評価はよくなかったが、型をはみ出していく手法としてはたいへんにおもしろいし、既存のものを壊すチャレンジ精神みたいなものは、とても好きだ。金明竹、志らく師もおもしろかったと言っていた。共通して感じるのはかしめさんって意外と黒い部分を持った人なのかも、ということ。ふだんの明るさとは打って変わって、黒さのある落語をやる人、っていう路線もカッコいいかも。
 俵星玄蕃では、まさかのサプライズもあり、ただ歌うだけではもたないという判断によるものらしいが、まったく隅から隅まで気を使って準備がされており、客を気持ちよくさせるということについても追及された会であったことが伺える。
 志らく師匠としては、伝統的なものを求める客にはウケないであろうという評であったが、私は、そういった部分は他の人に任せておいて、彼は彼のいいと思うものを追求していったらいいと思った。こしら師匠もおそらく、初期は型など何も気にせずに独自のやり方を素直に表出して人気の出た人であろうし、さらにその上で、最近ではいわゆる古典のスタイルも尊重した表現をされているように思われるので、辿る道はそれぞれであってもいいのではないかと思うのだ。何よりも本人が楽しんでいることが大切だと考えるし、なにしろまだまだ先は長いのだ。いろんなことをおもしろがっている表現者であってほしいと思うし、またそれをおもしろがれる客であり続けたいと、思いを新たにした夜であった。
 

2018年10月24日水曜日

20181023 三遊亭萬橘独演会 vol. 3「10月の萬橘…」

内幸町ホール 19:00〜

手紙無筆…まん坊
洒落番頭…萬橘
湯屋番…萬橘
仲入り
紺屋高尾…萬橘

 初めての会場。スマートフォンの地図アプリを見ながら探していたら、意外なところに入り口があり通り過ぎそうになる。地下の会場で、私が使っているキャリアの電波は届かない。ホールはまだ新しい感じで快適だが、前から2列目だった今回は少し見づらいと感じられた。
 まん坊さんは、見るたびに萬橘師匠に似てくる気がする。この日は、笑うポイントのもっていきかたとかが、似てる!と思った。洒落番頭は初めて聞いたけれど、あの、きたきた!っていうボケどころが、寄せては返す波のごとく何度もやってくるのが本当におかしい。そして湯屋番のインパクトが、ものすごい。あの気ぃ狂ってる感じが、本当にもう大好きだ。この場合の「気ぃ狂ってる」という表現は、「狂気の」とか「気狂いじみた」などではなく、「気ぃ狂ってんなホンマw」という書き方が、まことににぴったりとくるのである。紺屋高尾の久蔵さんの狂いっぷりもステキだったのだけれど、若旦那のあの狂いっぷりは本当にヤバかった。
 萬橘さんが何を演ってもステキに見えてしまうのは、登場人物のすべてに萬橘さん本人のフィルターがかかっていることが、ちゃんと感じられるからなのではないだろうか。「新ニッポンの話芸」のポッドキャスト第313回【萬橘師匠の落語】における、こしら師匠の評にあった、噺をつくるのに時間がかかるであろう、という分析は、つまり登場人物一人一人に萬橘さんならではの解釈を加えた上で演じられているから、ということになるだろう。
 演者が表現した事柄から観客が受け取っているのは、表面的に表れた事柄のみではなく、演者の存在そのものがまずその背景にあるという事込みの情報であって、そういう意味で、何が表現されたかよりも、その人そのものが表現されたのかどうか、という点に、実は私たちは何よりも注目しているのかもしれない。


2018年10月21日日曜日

20181020 浅草演芸ホール 10月中席

<昼の部>
前座 三遊亭かつを…子ほめ
三遊亭伊織…転失気
柳家さん助…手紙無筆
一風・千風…漫才
柳家小せん…鷺とり
柳亭燕路…小言念仏
アサダ二世…マジック
柳家喬之助…宮戸川
林家しん平…(ウルトラマンのはなし)
丸山おさむ…声帯模写
桂文楽…権兵衛だぬき
古今亭菊千代…ふぐ鍋
江戸家小猫…ものまね
鈴々舎馬風…(床屋のはなし〜リングアナのはなし〜談志の思い出)
仲入り
真打昇進披露口上
林家正楽…紙切り
三遊亭吉窓…大安売り
林家種平…お忘れ物承り所
柳家小さん…家見舞い(たぶん)
翁家社中…曲芸
古今亭駒子…惚れ薬、吉田くんと受付嬢
<夜の部>
前座 春風亭きいち…やかん
春風亭一左…浮世床
春風亭三朝…代脈
ジキジキ…音曲漫談
隅田川馬石…ざるや
林家ひろ木…熊の皮
林家楽一…紙切り
三遊亭白鳥…実録・鶴の恩返し
古今亭菊春…親子酒
柳家小菊…粋曲
五街道雲助…置泥
仲入り
金原亭馬玉…紙入れ
春風亭勢朝…紀州
ぺぺ桜井…ギター漫談
入船亭扇辰…悋気の独楽
柳家はん治…妻の旅行
鏡味仙三郎社中…曲芸
春風亭一之輔…笠碁

 事前情報にて、馬風師匠、白鳥さん、雲助さん、扇辰さん、はん治さんなどお目当てに、昼夜通しに挑戦。こんなにいいお天気の日に寄席にこもっているのも、ちょっとどうかなぁなんて思いながら。がんこ餅(たくさん)とみかん(6つ)を用意して準備万端。開演10分前くらいに入場すると、すでに1階席は団体予約席で相当数を占められており、ほぼ満席な感じなので2階へ。2列目は中座もしやすいので、なかなかいいということがわかった。夜席は念願の1階席へ移動。あたりまえだが全然見え方が違う。漂うレトロな空気感のせいだろうか、昔テレビで見た演芸番組の画面を切り取って再現したような感覚。
 さん助さん、お初。めちゃくちゃ笑った。小せんさんの鷺とりもおかしかった。程よいテンポにのっかって気持ちいい。つづく燕路さんの小言念仏もめちゃくちゃおかしい。ここでなぜかまた、自分が子供だった頃のイメージがよぎる。しん平さんはここ最近よく見るけれど、大人も子供も楽しい感じなんだなぁと改めて。この日の馬風師匠はとりとめない感じだったかな。下ネタは入ってたけど。小さん師匠…ごめんなさい寝てました…。そして文楽師匠、狸の頭を刈る様子がたまらん。しあわせ。
 おまちかね新真打駒子さん。お初だったけれど、そして初めは「?」となったけれど、なんだこれ楽しい!新作中心の方なのだろうか。演題は不明だが、前半はギンギラボーイとラブラブガールで、後半は吉田とか西村とか出てきて、めちゃくちゃ笑う。昼の部終演で席を立った後も、しばらくニヤけてしまうおかしさだった。
 夜の部、ジキジキのあとくらいからかな、出囃子で手拍子が。楽しい。ひろ木さん、これまで存じ上げなかったが、これはこれは大変なものを見てしまった。木久扇師匠のお弟子さんとのことなので、なおさらである。なんともいえないあのとぼけた雰囲気は、計算ずくなのか天然なのか?と思わせてしまうところがすでに計算なのか?…とても気になる。さらに寄席用なのか常にああなのか。あぁ気になる。まずは木久扇師匠から掘り下げたくなるが、これまた思うツボってやつなんだろうか。



2018年10月14日日曜日

20181013 第7回立川こはる独演会

新宿文化センター小ホール 19:00〜
風呂敷
品川心中
〜仲入り
五貫裁き

 第5回から1回空いて見に行くことができた。風邪を召されたとのことで調子が悪そう。ツイッターでは、次のターンへ向けての節目的な時期の会になると思う、とのことだったが、まぁ詳しいことは述べないがそういうことか、と。固定のお客さんも多くついている印象なので、こんなふうに温かく見守られながら歩んで行くのもいいものかも知れないな、と思う。
 風呂敷と五貫裁きは、それぞれいつ誰のものを聞いたのか全く覚えていないが、そういえばなんか聞いたことがあるなぁ、という遠い遠い記憶が蘇る。どちらも子供の頃に聞いたのではないだろうかと思われる。品川心中は、先日(7/19)のこはる ぴっかり☆ 定例会で聞いたばかりだったが、少しそれより長いバージョンだったように感じる。
 風呂敷は、単純におもしろい話だなぁという記憶だったのだが、五貫裁きのほうは、なんだかイヤな話だったなぁという感情が蘇ってきた。徳力屋の面々は、揃いも揃ってなんだかもう救いようのないイケズなのに、結局改心して成功するというところが、子供心にも納得がいかなかったのではあるまいか。
 次回は12月27日とのこと。結構暮れも押し迫っている頃だが行けるだろうか。

2018年10月11日木曜日

20181010 談笑「落語外伝」 : 名作落語〜それまで・そのあと・スピンオフ〜

第6回 子別れ
成城ホール 19:00開演
出演: 立川談笑 広瀬和生(アフタートーク)

 少し前に談笑さんの、あの破壊的にアホらしい落語を2つ(イラサリマケーとシシカバブ問答)見て改めて調べてみると、談笑師は自分のちょうど一世代くらい上の年齢だということがわかった。自分が10歳くらいだった時に周囲にいた20歳くらいのお兄さんお姉さんというものは、ちょうど働き始めたばかりだったり、大学生でバイトをしていたりして、金銭的に無力な子供であった自分の目には、80年代半ばのバブルと呼ばれる時代のせいもあったのだろうがメチャクチャ自由を謳歌しているように写った。あの時のあのキラキラした感じが突如フラッシュバックし、ノスタルジックな気分が押し寄せてきて、この人は是非目撃せねばと思い立ち、行ってきた次第である。
 結果から述べると、アホらしさとの落差ということだけでは説明のつかない感動に浸ることができた。一夜明けた今も余韻が残っている。お金の話のラジオに出演されていること、吉笑さんの師匠であること、ぐらいしか知らない状態で、あのアホらしい落語しか聞いたことがないところへもってきて、全く方向性のちがう子別れというお題。もちろん笑う気で行ったわけではなかったが、感情面での準備は皆無の状態で臨んだのがよかったのだろうか、とにかく揺さぶられた。ものすごく身体のデカい人に両手で肩を掴まれて揺さぶられたような感覚。されたことないけど。あのガタイは伊達じゃないのだ。
 本編とスピンオフの2つの噺を演るという構成で、そのあとに広瀬さんとのトークが入る。ここで今さっき見たばかりの落語について、本人による解説と広瀬さんの分析が聞けるという会になっている。見たばかりのものについて、直後にしかも本人からの解説が聞けるとは、なかなかニクい演出である。説明を聞いてみると、演者の意図を必ずしも自分が汲んでいたわけではなく、また伝えたかったことが必ずしも伝わっているわけでもなく、どちらかというと一見表出されていない演者の頭の中にあるディティールを開示してもらったような感じで、伝わりましたね、伝わりましたよ、という確認の場ではないというところが、いい意味での裏切りになっていて、二重にヤラレタな、というある種爽快な気分を味わうことができるのである。
 自分が落語に何を求めているのか考えるとき、共有の一点に尽きると思っていたのだが、今回のアフタートークから得たものは、実は誰とも何も共有できていないのだという確認なのであった。演者の意図は伝わっておらず、観客の感情は一致せず、プロデューサーの分析も説明がなされないことには共有されない。時空を共にすることで生まれると思っていた感情の共有は幻想だった。表面化したものだけでは本当のことは何もわからない。けれど表象でしか判断できないのもまた事実だ。結局なにもわからずじまいなのが真実ということなのかもしれない。

2018年10月9日火曜日

20181008 新宿末廣亭10月上席

昼の部
春風亭だいなも…(道灌?)
鈴々舎八ゑ馬…味噌豆
アサダ二世…奇術
林家たけ平…金色夜叉
三遊亭金朝…反対俥
江戸家小猫…物まね
林家しん平…(高級食材〜健康法のはなし)
むかし家今松…近日息子
ロケット団…漫才
柳亭小燕枝…権助提灯
金原亭伯楽…(小噺)
立花家橘之助…三味線漫談(たぬき)
柳家権太楼…町内の若い衆
中入り
柳亭こみち…附子
ホンキートンク…漫才
古今亭文菊…長短
柳家小せん…目薬
翁家社中…太神楽
鈴々舎馬るこ…目黒のさんま
夜の部〜真打昇進襲名披露興行
柳家緑助…つる
笑組…漫才(+南京玉すだれ)
古今亭志ん吉…浮世床
三遊亭歌奴…宮戸川
三遊亭吉窓…大安売り
林家正楽…紙切り
春風亭勢朝
柳家花緑…親子酒
マギー隆司…奇術
柳亭市馬…のめる
鈴々舎馬風…紙入れ
中入り
新真打口上
すず風にゃん子・金魚…漫才
柳家はん治…妻の旅行
五街道雲助…ざるや
鏡味仙三郎社中…太神楽
柳家観之助…妾馬

 ついに初の昼夜制覇を果たした。11:00くらいにつくと、すでに結構な列が。昼の部、小学生くらいのお客さんも多く、とても賑やか。夜の部、披露目の席ははじめて。とても華やいだ雰囲気。ハレの席なんだよなぁとしみじみ。
 開口一番だいなもさん、いきなりものすごく勢い良くて、それだけで笑ってしまった。百栄師匠のお弟子さんとのこと。師匠も近いうちに体験したい。
 伯楽さんは、今日は子供さんが多くいらっしゃるので、子供さん向けに小噺。最初にすでに出ていた味噌豆に入りそうになって、前座さんが知らせに来るというハプニング(?)。
 橘之助さん、今日は代演だと思い込んでいて、伯楽さんが下がられてすぐにトイレに立ったら、三味線の音が!急いで用を済ませて慌てて席へ戻る。橘之助襲名の頃から見たい見たいと願っていたので、ちょっとショックだったが、たぬきを演ってくださって感激。
 今日はお披露目とのことで、後ろ幕が。しかし空調の風で裾が煽られて「ふわぁ〜」と前に上がって来る。権太楼さん、セコい幕だね協会の幕だから、って。中入り後、若干修正され、こみちさん「今わたくしが念力で抑えております」。附子は、小学校の国語の教科書に載っていたので、子供さんを視野に入れてのことだろうか、と憶測するも、今も載っているのだろうか。水あめをしゃぶる仕草なんかは女がやるもんじゃないって言われるんですよ、なんて言いながらも、もちろんサマになっている。権助提灯なんかも拾いつつ。
 いつ頃だったか、文菊さんの長短について書かれたものを読んだことがあり、通常は短気のほうに焦点を当てて演じるが、文菊師匠のは気長の方に焦点を当てているところが新しい、ということであった。たしか。読んだ当初は長短を聞いたこともなかったので、なんのことか、と思ったのだが実際に目撃してみてこめかみが痺れる。ここ最近で複数の演者のものを見ていたことも作用していたと思うが、色々見ていると楽しみが深まる…というのはあくまでポジティブな見方で、結局落語は知らないとあんまり面白くないというネガティブな側面があって、私はこれが実は本質なんじゃないかと思っているのだが、いったいこの芸能はなぜこれまで継承され人々を楽しませ続けているのか。そんなことを考えてしまう。
 夜の部は一気にお祝いムードも高まり、笑組先生の南京玉すだれやら、歌奴さんの宮戸川のサゲは観之助出生の秘密だわ、金魚先生の手作り冠は観之助からもらったものだけで作った特別バージョンだわ(漫才はショートバージョンだった)で大いに盛り上がる。
 馬風師匠のくすぐり、アダルトなやつ。その場ですぐには気がつかず後で気づいて思わずメモ。卑猥なワードが有馬グランドホテルのコマーシャル欄に。
 口上では、司会の吉窓師匠を突き飛ばす馬風師匠。花緑師匠が「馬風師匠にも本当にお世話になり…」とやれば、何かを催促する手をそっと差し出す。三本締めも、名誉会長は会長市馬にはゆずらず笑いをとる。こちらも全篇サービス満点という感じであった。
 そのあとは正蔵さんの代演ではん治師匠。その素敵さに気づく。妻の旅行、調べたら三枝…今は文枝か…の創作らしい。お父さんの飄々とした様子が文枝と言われれば確かに、という感じ。新作はこのように再演されることによってスタンダードとして定着し、やがて古典になっていくのだろう。
 雲助師匠も代演だったのだがずっと見たいと思っていたので、こちらも嬉しく。ここのラインは、ずっと見ていたい感じだ。
 今日まで見てきたところで、伝統という縛りのなかで行われる内輪受けの芸とは対極的に、いわばお約束のない外の世界で繰り広げられるもっとポップな落語も存在していて、こちらもまた継承されつつあり人気も拡大していると感じている。ただしポップな落語も、寄席とはまた別のジャンルのことについて知らないと笑えないというお約束はあるのだが。寄席でポップなものは決して見られない、というわけではもちろんないし、それ以外の場所では寄席的なものは絶対にない、つまり絶対的な2極化がなされているわけでは決してないのだが、相対的に、閉鎖的な寄席の世界とそれ以外を比べてみるという見方はできそうだ。むしろ寄席芸とそれ以外にやんわりと分化されたことで、落語界は豊かになったといえるのではないだろうか。さらに豊穣な世界としていくためには伝統と革新と両方のバランスを保っていくことが必要で、このことは演者だけの問題でなく我々観客にも責任があるのではないかと考えている。

2018年10月2日火曜日

20181001 池袋演芸場10月上席

昼の部
前座 柳家寿伴…金明竹
林家つる子…やかん
桂三木助…猿後家
昭和こいる…漫談
川柳川柳…(テレビ、力道山の話)
林家源平…猫と金魚
ホームラン…漫才
柳家一九…置泥
柳家小袁治…長短
林家二楽…紙きり
古今亭志ん輔…豊竹屋
仲入り
蜃気楼龍玉…親子酒
八光亭春輔…一眼国 + かっぽれ
伊藤夢葉…奇術
柳家小満ん…明烏
夜の部(途中まで)
前座 古今亭まめ菊…道灌
桃月庵こはく…壺算
古今亭菊太郎…たいこ腹
すず風にゃん子・金魚…漫才
林家正蔵…夢八
柳家甚語楼…犬の目

 初めての池袋演芸場。場所がすぐにはわからなくて周囲をぐるぐるしてしまう。平日の正午前にうろつく繁華街は、場違いなような少し間が抜けているような、そしてどこか寂しいような。この日は台風一過にて超好天ゆえ、なおさらか。地下2階の会場へ入ってみると、思った以上にこじんまりしている。これは土日に入場するのはけっこう大変なんじゃないだろうか。人気のある演者が上がる日は、絶望的なんじゃないかという気もする。
 初めてのつる子さん。美人と評判なので思い描いていた声の感じは、いかにも女性らしいというかトーンの高い澄んだ声を想像していたのだが、実際はそんなイメージとは全然違っていて、いい意味で期待を裏切られた。講談もステキだった。
 今日のお目当ては川柳さん。こちらもお初。最近の状態をまったく知らずにいたので、映像で見ていた様子とはこれまた違っていたが、話すリズムや抑揚が心地よく、幸せな時間であった。ご本人も興が乗っておられたのだろうか、時間オーバーで前座さんが「師匠そろそろ」と出てこられたきっかけにて、終了。もうちょっと聞いていたかったかも。
 春輔師匠もお初だったが、かっぽれなるものが見られるとは思っていなかったのでうれしい。かっぽれという名前の響きはおどけたような感じを受けるが、実際見たものは、きちんとした舞踊という感じで、昨日今日でできるようなものではないな、と非常に感銘を受けた。ところで師匠はいつもかっぽれをやってるんだろうか。それとも時間調整のためなんだろうか。いずれにしても、いいものを見たということに変わりはないのだが。
 小満ん師匠は、今まであまりよさがわからなかったのだが、今日はこれまで聞く機会の多かった噺だったので、他の人のものと違っている部分を発見して楽しむことができ、これまでとは違う見方ができたような気がした。
 先日読んだ広瀬和生さんの「なぜ落語評論は役に立たないのか」にあった、落語とは噺家に会いに行くものだ、ということが落語をたのしむ大変によいヒントとなる。まったく広瀬さんの書いたものは本当に役に立つなあ、と思った次第。
 本当は昼の部で帰る予定だったが、正蔵さん、雲助さん、天どんさん、一朝さん、菊之丞さんと、すごく見たいラインナップだったので夜の部も最後まで見たくなり、かなり心が傾いたのだが、折衷案的に夜の部途中にて退散することに。あまり日を空けずに正蔵さんをまた見られてうれしい。枕から噺に入ろうかというタイミングで2回ばかり携帯が鳴ってしまったお客さんがいて、客席がちょっと「おやおや」という雰囲気になったところをすかさず「ケータイが鳴っちゃっても気にしなくっていいョ」。素敵すぎる。
 東京の寄席4箇所は、どれも駅からとても近いということに気がついた。特に池袋はものすごく近い。平日ふらっと行くのには、もってこいの場所なんではないだろうか。

20240928 もっと!新ニッポンの話芸スピンオフvol.4

 内幸町ホール 19:00開演 立川こしら 鈴々舎馬るこ 広瀬和生(トークのみ) ゲスト:柳亭信楽 ナツノカモ 信楽…お馬さん ナツノカモ…最後の夢 こしら…高田馬場 仲入り 馬るこ…怪談長短 アフタートーク  「新ニッポンの話芸ポッドキャスト」を聴いていると2倍、いや100倍楽...