( 2020年8月22日に清瀬けやきホールにて収録されたもの)
2020年9月6日(日)13:00〜配信
【決勝】
堺家太一(さかいや たいち)国際基督教大学落語研究会…自作落語「インフルゾンビ」
頭下位亭文世(とうかいてい あやせ)東海大学落語研究部…片棒
ぷりん亭芽りん(ぷりんてい めりん)神戸女学院大学/おふく寄席…自作落語「ピザこわい I hate pizza」
大人爾成亭難詩(おとなになるってい むずかしい)北海道大学落語研究会…胴乱の幸助
魔王院大和(まおういん やまと)日本大学芸術学部落語研究会…巌流島
駿河亭悪團治(するがてい わるだんじ)明治大学落語研究会…黄金の大黒
潮家いさな(うしおや いさな)一橋大学落語研究会…「家族割」
堺家ちがう(さかいや ちがう)国際基督教大学落語研究会…子ほめ
(審査員)
立川こしら(落語立川流)
柳家小せん(落語協会)
古今亭文菊(落語協会)
桂三四郎(上方落語協会)
柳家緑太(落語協会)
佐藤友美(東京かわら版)
広瀬和生(BURRN!編集長)
(司会)
鈴々舎馬るこ
昨年8月に開催された「広瀬杯学生落語選抜大会 in Shizuoka」の後継となる本大会は、録画された落語をあらかじめ選考しておき、決勝に残った者をオンラインで繋げ、それぞれの録画された動画を会場(無観客)で審査員が審査・講評を行い、その様子が動画配信される、というもの。
当初は予選は録画で応募し、決勝はホールで行う予定だったが、感染拡大の影響を鑑みて、決勝戦も録画を会場で審査する方式となったようだ。
トップバッター堺家太一さんのインフルゾンビ。風刺が効いている感じでついニヤリとさせられる。頭下位亭文世さん。ハイテンションと表情、動きが馬るこ師匠インスパイアな感じでめちゃくちゃ笑う。今回の出場者の中では結構ぶっ飛んだ系なのではないだろうか。そして、一席終わってZoom画面の出場者が映し出されると会場にはざわめきが。落語を演じていたあの娘とは別人かというくらいのギャップ…かっカワイイ…!
芽りんさんを知ったのは昨年の広瀬杯だった。その後アップロードされた動画で落語指導の様子や、ラジオ出演された際の口演を聞いたりしていて、広瀬杯で見たときよりも芽りんさんの世界観みたいなものが表出されているなぁという感想を持っていた。今回は英語と歌ウマというだけでない、芽りんさんというその人が表現されたすばらしい一席だったと思う。ピザ食べる仕草、思い出してニヤニヤしてしまう。
オープニングの出場者紹介を、馬るこ師匠が飛ばしてしまうというハプニングに見舞われた大人爾成亭難詩さん、飄々とした中に、小ネタを散りばめて笑わせてくれるところが関西だなあという感じで(大学は北海道だけど)、上方びいきとしてはうれしくなってしまう。
魔王院大和さんは、審査員からの「予選の新作がもう一度見たかった」との声が多かったが、予選を知らないこちらとしては、巌流島はばっちりハマっていたと思う。独自演出もキマっていて、可愛らしい声と風貌に反して、オトコマエな口演だった。
駿河亭悪團治って、てんしき杯の時もいなかったっけ?と思っていたら、実は別人で襲名したとのこと。私は前の悪團治さんを見たことはないので、言われなければ気がつかなかったけれど、先代はイケメンだったらしく、悪團治さんが高座に上がる時のみ女子の集団が集まってくるほどだったという(馬るこ師談)。ところどころにこしら師匠テイストが感じられたのと、全体的に立川流っぽい雰囲気があったので、影響を受けているのかどうか、その辺の話も聞いてみたかった。
潮家いさなさんの新作は本当に面白くて、機会があればぜひ他のも聞いてみたい。そして優勝は堺家ちがうさん。優勝が発表された時の感激が伝わってきて、爽やかな感動が胸にのこる。そして東京かわら版1年分もらえると判り、めちゃくちゃ喜んでいる姿がすんごく良い。
落語家審査員の本気のアドバイスの熱さも印象的だ。すごく細かいところまで見ていて、仔細なアドバイスをする小せんさん。芽りんさんに対する広瀬さんの講評を受けて、改善点を提案する文菊さん。意外にもちゃんと講評しつつ、周囲の人を笑わせることも忘れないこしら師匠。堺家太一さんへの自身の講評が短かったことを、ずっと気にする三四郎さん。
元をたどれば、てんしき杯の後継ということになるこの会が、なんとか今年も開催されたことに感謝。来年は学生さんたちの生の口演に接することができるよう願っています。
順位と得点は以下のとおり
5位)ぷりん亭芽りん 54.2点
4位)駿河亭悪團治 54.9点
3位)大人爾成亭難詩 57点
2位)潮家いさな 58点
1位)堺家ちがう 61.9点